介護保険、末期がんに対応できず
末期がん患者が在宅療養で介護保険を利用する際、要介護認定が間に合わず、
生前に必要なサービスを受けられない例があることが、姫路市のNPO法人の調
査で分かった。
病状が小康状態の場合、軽度に認定されるなど、約7割の患者の支援に課題が
あった。40歳以上の末期がん患者は2006年から介護保険の対象だが、終末
期を支える制度の不備が浮き彫りになった。
介護サービスを評価するNPO法人「姫路市介護サービス第三者評価機構」が08
年から09年、同市内の居宅介護支援事業所を対象に調査を実施。患者194人の
うち、認定に時間がかかったり、要介護度が実態にそぐわなかったりしたのは68
%(132人)に達した。認定までに平均3週間かかっており、介護用ベッドがすぐに
使えないなどの支障があった。
時間がかかった理由として「訪問調査がすぐに実施されなかった」、「主治医の意見
書の提出が遅れた」が多かった。訪問介護を待たずに亡くなった患者も10人いた。
調査に加わった近畿大学豊岡短期大学(豊岡市)の武田英樹准教授(社会福祉学)
は「がん末期は病状が急変しやすい。悪化を考えた認定が出来るよう制度改正が
必要だ」と話す。
【 野口 】