生保二重課税、10月下旬から還付
年金払い方式の生命保険に相続税と所得税がかかる「二重課税問題」で、
財務省と国税庁は取り過ぎた所得税の還付を10下旬から始める方針を固
めた。複数年に分けて受け取る保険金のうち、1年目の所得税を全額還付
する。元本部分と運用益との支払いを受ける2年目以降についても元本部
分にかかっていた所得税は、時効の範囲内である過去5年分にさかのぼっ
て還付する方針だ。
生命保険金の二重課税問題は最高裁が7月に年払い方式の死亡保険金
に相続税と所得税の両方がかかるのは違法との判断を示し、所得税が還
付される見通しとなっていた。ただ、最高裁は年払いで受け取った1年目の
保険金への所得税課税を違法とする半面、2年目以降は判断を示していな
い。1年目の保険金は相続税がかかる元本部分だけだが、2年目以降には
元本に加え、相続税がかからない運用益による積み増し部分が含まれるか
らだ。焦点だった2年目以降の保険金への課税方法について、国税庁は元
本を除く運用益にだけ所得税を課税する方針。過去の契約者への還付も1
年目の所得税は全額還付するが、2年目以降は元本部分から徴収した分だ
けを還付する。
【日本経済新聞 2010年9月1日 朝刊より】