iPS細胞、初の患者治療 14年夏にも

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2013年06月27日 12:18

厚生労働省の審査委員会は26日、理化学研究所などが申請していたiPS細胞を使う臨床研究計画を承認した。目の難病になった患者が対象で、2014年夏をメドにiPS細胞を使った初の治療が国内で始まる。京都大学の山中伸弥教授が人のiPS細胞を開発してから6年あまりで、同細胞を使う再生医療が実現に向けて大きく動き出した。

 臨床研究は理研の高橋政代プロジェクトリーダーと先端医療振興財団(神戸市)などが計画し、今年2月に厚労省へ申請した。目の網膜の病気で失明の恐れもある「加齢黄斑変性」という難病が対象で、日本人に多い「滲出(しんしゅつ)型」の患者に実施する。物がゆがんで見えたり視野の中心部が暗く見えたりする。国内に70万人の患者がいるとされ、根本的な治療法はない。

 研究は同財団の先端医療センター病院(同市)と神戸市立医療センター中央市民病院が連携して手がけ、8月にも患者の治療に向けた準備を始める。患者の中から50歳以上で既存の薬が効かず、眼鏡などで矯正しても視力0.3未満などの条件を満たした6人を選ぶ。

 患者自身の皮膚などの細胞からiPS細胞を作った後、シート状の網膜細胞に育て患者の網膜の傷んだ部分と入れ替える。皮膚細胞からシートを作るには約10カ月かかるため患者の目に移植する治療は来夏になる見込み。治療を受けた患者は視力の大幅な回復は難しいものの、病気の進行は抑えられ、失明は避けられると期待される。
                        
                  日本経済新聞抜粋   【池谷】