医療費の膨張が止まらない 「金の切れ目が命の切れ目」なのか
医療費の膨張が止まらない。平成23年度に病気やけがの治療で医療機関に支払われた
医療費の総額が38兆5850億円に上り、5年連続で過去最高を更新した。
なぜ医療費はこうも膨れるのだろうか。大きな要因の一つは高齢化の影響だ。1人あたりの
医療費は65歳以上が72万900円。65歳未満の17万4800円に比べ4倍以上の開きがある。
とはいえ、高齢者数の増加はどうにもならない。できるとすれば健康づくりだ。
「平成24年国民健康・栄養調査」は、糖尿病が強く疑われる人と予備軍とで2050万人と推計する。
前回19年調査と比べ約160万人減ったが成人の5人に1人である。国民意識をさらに高めていくしかない。
一方、「高齢化」と並んで医療費を押し上げているのが、新技術、薬、高度な検査機器の
開発・普及といった「医療の高度化」である。あまり知られていないが、医療費増加要因としては
高度化によるところが一番大きいのだ。
高度化が医療費を膨らますのは値段の高さだけではない。高度医療を必要とする患者は、
複数の大病を抱えている場合が多い。先端医療技術で1つの重病が治り、命を永らえたとしても、
結果として闘病生活が長引くことになる。
ある医師は「『お金の切れ目が命の切れ目』は冷酷な現実。
そろそろ『そこそこの医療』とは何かについて考えるときだ」と言い切った。
本日の担当:沼津店 川添 (産経新聞より)