2014年08月25日
広島土砂災害 「警戒区域」指定に全国“格差”
土砂災害の恐れがある「土砂災害危険箇所」を、住民の避難態勢を整備する「土砂災害
警戒区域」などに切り替える取り組みが全国で進められているが、その進捗(しんちょく)を示す
「指定率」は都道府県によって大きく差が出ている。
指定が完了した県がある一方、10%台にとどまっているところもあるためだ。
■きっかけは平成11年の広島の土砂崩れ
警戒区域の指定には、地質調査や、防災情報をまとめたハザードマップ(災害予測地図)の
作製による住民への危険周知といった条件があり、指定を通じて防災意識の向上が期待されている。
だが、行政の人手不足や予算面などを理由に、切り替えが遅れているところも少なくない。
警戒区域は、より危険性が高い区域は特別警戒区域として指定。特別警戒区域の場合、建物の
移転勧告をすることもある。
この制度を創設するきっかけになったのは、平成11年6月に広島市と広島県呉市で起きた
土砂崩れなどで31人が死亡した災害だ。これを機に制定された土砂災害防止法に基づく制度で、
15年には広島県内13カ所で初の警戒区域の指定が行われた。
国土交通省によると、全国の土砂災害の危険箇所約52万カ所のうち、警戒区域に指定されて
いるのは約7割の約35万カ所。
広島県内の危険箇所は全国最多の約3万2千カ所を抱えるが、指定率は約37%にとどまっている。
県砂防課によると、住民説明などに手間がかかり、指定には2年以上かかることも。県の現状の
態勢では、指定完了には20年近くかかる見通しだ。今回の土砂災害で被害のあった区域のうち
指定されていたのは1区域のみ。残りの区域は「順番待ち」だった。
担当者によると、指定は公共施設がある地域や、過去に災害が起きた地域を優先。なかには
「地価の下落につながる恐れがある」と住民が指定を拒み、調査に入れないケースもある。
■福岡などは100%
一方、すでに指定が完了しているのは、青森、山梨、福岡の3県。福岡県では専門職員5人を
配置した上で、予算も数倍に増やした。
福岡県砂防課によると、21年7月の「中国・九州北部豪雨」による同県篠栗町での土砂災害で
2人が死亡したことが指定に本腰を入れる契機になった。避難の重要性を実感してもらう
ビデオも自作し、住民理解を得るのに苦心したという。
片田敏孝群馬大教授(災害社会工学)は、「警戒区域を指定することで危険な場所に住んで
いることの自覚が促され、住民は主体的に早めの行動を取るようになる。指定はかなり踏み込んだ
防災政策といえる。なかには、地価下落などを嫌がる住民の合意がとれずに指定が進まない例も
あるが、物理的な危険は同じで、本末転倒だ」と話している。
本日の担当:学園通り店 杉山 (産経新聞より)
警戒区域」などに切り替える取り組みが全国で進められているが、その進捗(しんちょく)を示す
「指定率」は都道府県によって大きく差が出ている。
指定が完了した県がある一方、10%台にとどまっているところもあるためだ。
■きっかけは平成11年の広島の土砂崩れ
警戒区域の指定には、地質調査や、防災情報をまとめたハザードマップ(災害予測地図)の
作製による住民への危険周知といった条件があり、指定を通じて防災意識の向上が期待されている。
だが、行政の人手不足や予算面などを理由に、切り替えが遅れているところも少なくない。
警戒区域は、より危険性が高い区域は特別警戒区域として指定。特別警戒区域の場合、建物の
移転勧告をすることもある。
この制度を創設するきっかけになったのは、平成11年6月に広島市と広島県呉市で起きた
土砂崩れなどで31人が死亡した災害だ。これを機に制定された土砂災害防止法に基づく制度で、
15年には広島県内13カ所で初の警戒区域の指定が行われた。
国土交通省によると、全国の土砂災害の危険箇所約52万カ所のうち、警戒区域に指定されて
いるのは約7割の約35万カ所。
広島県内の危険箇所は全国最多の約3万2千カ所を抱えるが、指定率は約37%にとどまっている。
県砂防課によると、住民説明などに手間がかかり、指定には2年以上かかることも。県の現状の
態勢では、指定完了には20年近くかかる見通しだ。今回の土砂災害で被害のあった区域のうち
指定されていたのは1区域のみ。残りの区域は「順番待ち」だった。
担当者によると、指定は公共施設がある地域や、過去に災害が起きた地域を優先。なかには
「地価の下落につながる恐れがある」と住民が指定を拒み、調査に入れないケースもある。
■福岡などは100%
一方、すでに指定が完了しているのは、青森、山梨、福岡の3県。福岡県では専門職員5人を
配置した上で、予算も数倍に増やした。
福岡県砂防課によると、21年7月の「中国・九州北部豪雨」による同県篠栗町での土砂災害で
2人が死亡したことが指定に本腰を入れる契機になった。避難の重要性を実感してもらう
ビデオも自作し、住民理解を得るのに苦心したという。
片田敏孝群馬大教授(災害社会工学)は、「警戒区域を指定することで危険な場所に住んで
いることの自覚が促され、住民は主体的に早めの行動を取るようになる。指定はかなり踏み込んだ
防災政策といえる。なかには、地価下落などを嫌がる住民の合意がとれずに指定が進まない例も
あるが、物理的な危険は同じで、本末転倒だ」と話している。
本日の担当:学園通り店 杉山 (産経新聞より)
Posted by 保険カンパニー at 09:27│Comments(0)