2015年05月22日
なぜ大腸がんが急増しているのか?
俳優の今井雅之さん(54)が末期の大腸がんであることを告白し、5月に予定されていた舞台を降板した。
女優の坂口良子さん(享年57)、俳優の原田芳雄さん(享年71)はこの病気で亡くなっている。
一方で、ジャーナリストの鳥越俊太郎さん(75)のように、直腸がんが肺、肝臓に転移しながらも、
すべて手術で取り除くことでがんを克服した人もおり、今井さんも仕事への復帰へ強い意欲を見せている。
今井さんのように大腸がんになる患者は増えており、国立がん研究センターが公表した2015年の
がん統計予測では、これまでトップだった胃がんを抜いて、男女合わせて患者数が最も多いがんになるようだ。
今年大腸がんと診断される人は13万5800人程度いると予測されている。大腸がんは女性より男性に多い
ものの、2013年に女性のがんで最も死亡数が多かったのも大腸がんだった。女性は乳がんや子宮がんが
多いというイメージがあるかもしれないが、実は、最も女性の命を奪っているがんは大腸がんなのだ。
ちなみに、男性の場合、今のところ肺がんと胃がんのほうが死亡数は多く、第3位が大腸がんだ。
なぜ、大腸がんが増えているのか。増えている原因として専門家の多くが指摘するのが食生活や
ライフスタイルの欧米化だ。大腸がんは、がんが発生した部位によって結腸がんと直腸がんに分けられるが、
かつて日本人の結腸がんは欧米に比べて少なかった。ハワイに移民した日系人の結腸がん罹患率を
調べると、ハワイ在住の白人と同程度であり、結腸がんの発生には食生活などが大きく関わっているという
根拠になっていたのだ。ところが、日本人の食生活やライフスタイルが欧米化したことによって、すでに
日本人の結腸がん罹患率は、ハワイの日系人、アメリカの白人やイギリス人と同程度になってしまった。
国内外の研究で、大腸がんの確実な危険因子とされているのは、次の6つの項目だ。
□ 肥満
□ 喫煙習慣
□ 大量飲酒の習慣
□ 牛・豚・羊などの赤肉、ベーコン・ハム・ソーセージなど加工品の過剰摂取
□ 運動不足
□ 祖父母、親や兄弟姉妹など直系の家族に大腸がんの人がいる
大腸がんの増加は、肥満、大量飲酒の習慣、赤肉や加工品の過剰摂取、運動不足の人が増えたことと
関係がありそうだ。特に、国際的に、大腸がんのリスクを確実に下げると評価されているのが「運動」である。
世界がん研究基金と米国がん研究財団がまとめた『食物・栄養・身体活動とがん予防』(2011年版)では、
ニンニク、牛乳、カルシウムの摂取も予防効果がある「可能性大」とされているが、運動は、食物繊維が
豊富な食物とともに、「確実な予防法」にリストアップされている。
大腸のがんの発生と運動が関係あるとは意外な気がするものの、日本人を対象にした国立がん
研究センターの研究班による多目的コホート研究でも、特に男性で身体活動量の多い人は結腸がんに
なるリスクが少ないことが証明されている。日常的にほとんど運動しない身体活動量最少グループが
結腸がんになるリスクを1とすると、日常的によく運動あるいは肉体労働をしているグループの男性はリスクが
0.58倍、女性では0.82倍だった。男性の場合、運動によって結腸がん発生リスクを42%も低下させると
いうことだ。最近、デスクワークなどで長時間座り過ぎのセデンタリー症候群が、生活習慣病を増やすと問題に
なっているが、座り過ぎは結腸がんのリスクも増やす。必要だと分かっていても3日坊主で終わりがちなのが
運動だが、週1回程度定期的なスポーツを行うだけでも結腸がんのリスクは下げられるという。通勤時や
会社の中では、エスカレーターやエレベーターをなるべく使わず階段を利用するなど日常生活の中でこまめに
体を動かすことも重要だ。
ただ、日常的に運動し、禁煙、禁酒、減量、食物繊維の多い食事を心がけたとしても、大腸がんになる
リスクはゼロにはならない。早期に発見されればほぼ100%近く治るがんなので、40歳以上の人は年1回、
大腸がん検診を受けることも大切とされる。大腸がん検診は、便の中に血が混じっていないか調べる
便潜血検査で、40歳以上の人が年1回受けることで死亡率を下げることが科学的に証明されている。
ほとんどの自治体で便潜血検査を実施しているので、受けたことのない人は自治体に問い合わせてみると
よいだろう。
大腸がん検診には、肛門から内視鏡を入れる大腸内視鏡検査を受ける方法もある。
内視鏡検査による検診も死亡率を下げることが分かっているが、内視鏡検査を実施する医師の力量にも
差があり、どこでもできるわけではないので、こちらは希望者が任意で受ける検診に位置付けられている。
特に、血縁者に大腸がんになった人がいる場合には、40歳以上になったら1度、大腸内視鏡検査を
受けてみるとよいだろう。
便潜血検査で「陽性」が出たら、できるだけ早く精密検査を受けることも大切だ。「本当にがんだったら
怖いから」と放置してしまう人は意外と多く、やっと重い腰を上げて精密検査を受けたときには大腸がんが
進行していたというケースもある。便潜血検査が陽性だからといって、絶対にがんとは限らないので、
あまり怖がり過ぎないようにしよう。内視鏡検査で大腸ポリープや超早期がんが見つかったときには、
そのまま内視鏡でがんを切除できる場合もある。
精密検査を受ける際、注意したいのは、内視鏡検査は大腸がんの内視鏡治療の実績のある医療機関で
受けることだ。大腸内視鏡による治療で済めば、開腹手術を受けるよりかなり楽とはいえ、内視鏡検査の
前には2リットルの下剤を飲んで大腸を空になければならない。さらに肛門から何度も内視鏡を挿入されるのは
気持ちがよいものではない。検査と治療が一度に済むならそれに越したことはないわけだ。
内視鏡治療では取り切れないくらいがんが広がっていれば、外科手術の対象となる。リンパ節に転移が
ある場合は、一般的に、手術の後に抗がん剤治療によって再発を予防する。大腸にがんが再発したり、
肺や肝臓といった他の臓器への転移が見つかったりしても、手術で取り切れれば完治が望める場合もある。
大腸癌研究会のデータによると、他の臓器に転移があったり腹膜にがんが広がっていたりする人の
5年生存率は13%と確かに厳しいが、新しい薬が次々開発され、大腸がんの治療成績は確実に上がりつつある。
本日の担当:御殿場店 鈴木 (PRESIDENT Onlineより)
女優の坂口良子さん(享年57)、俳優の原田芳雄さん(享年71)はこの病気で亡くなっている。
一方で、ジャーナリストの鳥越俊太郎さん(75)のように、直腸がんが肺、肝臓に転移しながらも、
すべて手術で取り除くことでがんを克服した人もおり、今井さんも仕事への復帰へ強い意欲を見せている。
今井さんのように大腸がんになる患者は増えており、国立がん研究センターが公表した2015年の
がん統計予測では、これまでトップだった胃がんを抜いて、男女合わせて患者数が最も多いがんになるようだ。
今年大腸がんと診断される人は13万5800人程度いると予測されている。大腸がんは女性より男性に多い
ものの、2013年に女性のがんで最も死亡数が多かったのも大腸がんだった。女性は乳がんや子宮がんが
多いというイメージがあるかもしれないが、実は、最も女性の命を奪っているがんは大腸がんなのだ。
ちなみに、男性の場合、今のところ肺がんと胃がんのほうが死亡数は多く、第3位が大腸がんだ。
なぜ、大腸がんが増えているのか。増えている原因として専門家の多くが指摘するのが食生活や
ライフスタイルの欧米化だ。大腸がんは、がんが発生した部位によって結腸がんと直腸がんに分けられるが、
かつて日本人の結腸がんは欧米に比べて少なかった。ハワイに移民した日系人の結腸がん罹患率を
調べると、ハワイ在住の白人と同程度であり、結腸がんの発生には食生活などが大きく関わっているという
根拠になっていたのだ。ところが、日本人の食生活やライフスタイルが欧米化したことによって、すでに
日本人の結腸がん罹患率は、ハワイの日系人、アメリカの白人やイギリス人と同程度になってしまった。
国内外の研究で、大腸がんの確実な危険因子とされているのは、次の6つの項目だ。
□ 肥満
□ 喫煙習慣
□ 大量飲酒の習慣
□ 牛・豚・羊などの赤肉、ベーコン・ハム・ソーセージなど加工品の過剰摂取
□ 運動不足
□ 祖父母、親や兄弟姉妹など直系の家族に大腸がんの人がいる
大腸がんの増加は、肥満、大量飲酒の習慣、赤肉や加工品の過剰摂取、運動不足の人が増えたことと
関係がありそうだ。特に、国際的に、大腸がんのリスクを確実に下げると評価されているのが「運動」である。
世界がん研究基金と米国がん研究財団がまとめた『食物・栄養・身体活動とがん予防』(2011年版)では、
ニンニク、牛乳、カルシウムの摂取も予防効果がある「可能性大」とされているが、運動は、食物繊維が
豊富な食物とともに、「確実な予防法」にリストアップされている。
大腸のがんの発生と運動が関係あるとは意外な気がするものの、日本人を対象にした国立がん
研究センターの研究班による多目的コホート研究でも、特に男性で身体活動量の多い人は結腸がんに
なるリスクが少ないことが証明されている。日常的にほとんど運動しない身体活動量最少グループが
結腸がんになるリスクを1とすると、日常的によく運動あるいは肉体労働をしているグループの男性はリスクが
0.58倍、女性では0.82倍だった。男性の場合、運動によって結腸がん発生リスクを42%も低下させると
いうことだ。最近、デスクワークなどで長時間座り過ぎのセデンタリー症候群が、生活習慣病を増やすと問題に
なっているが、座り過ぎは結腸がんのリスクも増やす。必要だと分かっていても3日坊主で終わりがちなのが
運動だが、週1回程度定期的なスポーツを行うだけでも結腸がんのリスクは下げられるという。通勤時や
会社の中では、エスカレーターやエレベーターをなるべく使わず階段を利用するなど日常生活の中でこまめに
体を動かすことも重要だ。
ただ、日常的に運動し、禁煙、禁酒、減量、食物繊維の多い食事を心がけたとしても、大腸がんになる
リスクはゼロにはならない。早期に発見されればほぼ100%近く治るがんなので、40歳以上の人は年1回、
大腸がん検診を受けることも大切とされる。大腸がん検診は、便の中に血が混じっていないか調べる
便潜血検査で、40歳以上の人が年1回受けることで死亡率を下げることが科学的に証明されている。
ほとんどの自治体で便潜血検査を実施しているので、受けたことのない人は自治体に問い合わせてみると
よいだろう。
大腸がん検診には、肛門から内視鏡を入れる大腸内視鏡検査を受ける方法もある。
内視鏡検査による検診も死亡率を下げることが分かっているが、内視鏡検査を実施する医師の力量にも
差があり、どこでもできるわけではないので、こちらは希望者が任意で受ける検診に位置付けられている。
特に、血縁者に大腸がんになった人がいる場合には、40歳以上になったら1度、大腸内視鏡検査を
受けてみるとよいだろう。
便潜血検査で「陽性」が出たら、できるだけ早く精密検査を受けることも大切だ。「本当にがんだったら
怖いから」と放置してしまう人は意外と多く、やっと重い腰を上げて精密検査を受けたときには大腸がんが
進行していたというケースもある。便潜血検査が陽性だからといって、絶対にがんとは限らないので、
あまり怖がり過ぎないようにしよう。内視鏡検査で大腸ポリープや超早期がんが見つかったときには、
そのまま内視鏡でがんを切除できる場合もある。
精密検査を受ける際、注意したいのは、内視鏡検査は大腸がんの内視鏡治療の実績のある医療機関で
受けることだ。大腸内視鏡による治療で済めば、開腹手術を受けるよりかなり楽とはいえ、内視鏡検査の
前には2リットルの下剤を飲んで大腸を空になければならない。さらに肛門から何度も内視鏡を挿入されるのは
気持ちがよいものではない。検査と治療が一度に済むならそれに越したことはないわけだ。
内視鏡治療では取り切れないくらいがんが広がっていれば、外科手術の対象となる。リンパ節に転移が
ある場合は、一般的に、手術の後に抗がん剤治療によって再発を予防する。大腸にがんが再発したり、
肺や肝臓といった他の臓器への転移が見つかったりしても、手術で取り切れれば完治が望める場合もある。
大腸癌研究会のデータによると、他の臓器に転移があったり腹膜にがんが広がっていたりする人の
5年生存率は13%と確かに厳しいが、新しい薬が次々開発され、大腸がんの治療成績は確実に上がりつつある。
本日の担当:御殿場店 鈴木 (PRESIDENT Onlineより)
Posted by 保険カンパニー at 09:23│Comments(0)