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2015年08月25日

介護保険料月5000円→8000円 負担はどこまで膨らむのか?

「介護」が高齢者の家計や国の財政を直撃する負担激増時代の足音が迫っている。
団塊の世代が75歳以上になる10年後の平成37年度は、高齢化の進展で介護サービスの
利用者は200万人近く増え、670万人を突破する。介護給付費は倍増の約20兆円、
介護保険料も全国平均で月額3000円近く増え、8000円を超える。政府は8月から所得に
応じて介護利用料(一律1割)の2割負担に踏み切ったが、負担増到来への序章に過ぎない。

■天井知らず

在宅や介護施設で介助や食事などのサービスを利用した料金は、利用者が原則1割を負担し、
残りは税金と保険料が半分ずつカバーしている。うち65歳以上が毎月支払う介護保険料は
地方自治体や広域連合が3年に一度見直す仕組みだ。今年度は見直し時期にあたり、
65歳以上は4月から新しい保険料が年金から天引きされている。

ただ、保険料は介護保険制度が発足した12年度以来、介護需要の高まりとともに、
「天井知らず」の“高騰”を続けている。

発足当初は全国平均で2911円。15年後の今年度からは5514円になり、37年度には
8165円(厚生労働省の推計)に達するが、あくまで全国平均で、保険料はそれぞれの
自治体などが介護事業者に支払う費用を基に、介護を必要としている高齢者数などで算定して
おり、地域で保険料が異なる「地域格差」がある。

厚労省の推計通り37年度に全国平均8165円に達した場合、「保険料の最高額が1万円を
突破する自治体も出てくる」(厚労省幹部)といい、年金暮らしの高齢者の家計を直撃する。

その予兆は今年度の見直しで読み取れる。高齢者の健康維持のため、介護予防に力を入れ、
保険料を引き下げた自治体や広域連合は全体の1・7%に当たる27しかない。

逆に、全体の94%にあたる1488の自治体などは保険料を引き上げたのだ。最高額は奈良県
天川村。美しい大自然に恵まれ、その4分の1が吉野熊野国立公園に指定されている山村の
高齢化率は46・7%と高く、昨年度まで4849円だった保険料は一気に8686円にアップし、
1万円台は時間の問題だ。

対照的に最も低い鹿児島県三島村は離島で施設が少ないことなどから、2800円(今回は据置き)。
天川村との差は5886円もある。厚労省によると、高齢化率や要介護の認定率が高いところほど
上昇する傾向が強い。

■被災地痛撃

今回の保険料改定では、東京電力福島第1原発事故に伴う避難区域の双葉、大熊、楢葉、
浪江の4町と飯舘、葛尾両村が高額保険料上位20以内に入った。特に8003円の飯舘村は
天川村に次ぐ2位となった。

国の特例措置で避難区域の高齢者について、保険料と利用料の自己負担は原則として
全額免除されているものの、避難暮らしで体調を崩した高齢者が増えたことに伴い、要介護の
認定率が上昇、結果的に保険料がアップした。

「事故前は三世代や二世代同居で高齢者の面倒をみる家族がいたが、避難暮らしで家族が
バラバラなった。さらに、避難暮らしで引きこもり、畑仕事で身体を動かす機会も減ったからでは
ないか」。厚労省幹部はこう分析する。

保険料の上昇は当然、介護費の上昇に直結する。介護給付費は26年度で約10兆円だが、
団塊の世代をはじめ、介護を必要とする高齢者が増える37年度は約20兆円に跳ね上がる。
こちらも天井知らずの膨張で、国の財政を圧迫する。

■応益負担

家計も国の財政も介護費増大で破綻しかねない事態を回避するため、政府は8月から制度
発足以来、初めて利用者の自己負担を現行の1割から2割に引き上げた。対象は一定の所得の
ある高齢者で、単身で収入が年金だけの場合は年280万円以上。個人単位で認定されるため、
夫婦で年金合計額が346万円以上で「夫が280万円以上、妻が280万円未満」の場合は
「夫が2割・妻は1割のまま」と負担が異なるケースもある。
厚労省としては、所得があれば高齢者でも支払い能力に応じて、より多く負担してもらう
「応能負担」の方針を打ち出し、膨らむ介護費の抑制につなげるのが狙いだ。2割負担の対象に
なるのは60万人。介護サービス利用者506万人(4月時点)の約12%に相当する。
厚労省によると、今回の負担増で、利用者負担を除く介護費は29年度に720億円の抑制に
なると試算している。

だが、2割負担を導入しても抑制額は介護費年約10兆円の1%に満たず、さらなる負担増の
動きも出始めている。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が6月に出した建議では、
介護保険制度改革として「2割負担の対象者拡大」を盛り込んだ。

先手を打たれた厚労省は警戒するものの、超高齢社会が本格的に到来する37年度まで
残された時間を踏まえれば、対象者拡大を含めて痛みを伴う改革論議が急務だ。


本日の担当:御殿場店 鈴木 (産経新聞より)



Posted by 保険カンパニー at 09:25│Comments(0)
 
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