2015年09月09日
岐阜発「楽園企業」、毎日5時に帰る残業ゼロ術
■毎日が「ノー残業デー」の会社
終業時間に退社することが、あなたは何回あるだろうか?
「ノー残業デー」の週1回? 2回? そもそも「定時に帰る」という発想がない人も多いかもしれない。
一方、岐阜県にある電気・設備資材メーカー「未来工業」の社員たちは、夕方4時45分になると帰り支度を始め、5時にはほぼ誰もいなくなる。就業時間は7時間15分で、残業も仕事の持ち帰りも禁止。まさに毎日が「ノー残業デー」だ。
創業者の故・山田昭男氏が以前、テレビ「カンブリア宮殿」に出演した際のこと。
「家族との夕食を毎日とれるのが幸せ」と話す中堅社員のビデオ映像が流され、他社から転職してきた独身社員は、「平日に自分の時間がいっぱいあるので、前職ではあきらめていた『平日“婚活”』をやってみます!」と宣言してみせた。
未来工業は残業禁止の導入後30年間、赤字決算はなく、経常利益率の平均も10%を上回っている。残業禁止で、1日7時間15分しか働かないのに、儲かる会社であり続けている。
いったい、こんな「楽園企業」は、どのように生まれたのだろうか?
実は、以前の未来工業は、午前8時始業で午後5時終業。繁忙期には残業もある、ごく普通の会社だった。「残業禁止になる前は、定時に帰るという発想もなかった」という社員もいたほどだ。
■「楽園企業」が生まれた3つの理由
それが今では、残業禁止だけでなく、残った仕事の持ち帰りも禁止。同社が、「楽園企業」に生まれ変わったのには3つの理由がある。
1.スーパーの閉店時間に間に合わないから
「17時に仕事が終わっても、近所のスーパーの閉店時間に間に合いません」
本社が大垣市内から移転すると、同市内に住む多くの社員は、20分以上早く自宅を出なければならなくなった。退社時間も遅くなり、女性社員からは「スーパーの閉店時間に間に合わない」と不満が寄せられた。
「そしたら始業時間を30分遅らせて、終業時間も15分早めよう」
創業者である山田昭男氏の決断で、「毎朝8時半始業、夕方16時45分終業」の7時間15分の勤務体制が生まれた。
2.残業手当を払うのが、もったいないから
「残業手当は、もったいないから払いたくない」
生前の山田氏は、実に率直にそう話していた。残業手当は、基本給の25%もの割増しになるためだ。
だが、生前の山田氏は本音とも冗談ともつかぬ発言で、相手を煙に巻くのが上手な創業者だった。2番目までの発言も額面どおりには受け取れない。長年取材してきた身からすると、むしろ次の3番目が最大の理由だった気がする。
3.仕事だけで人生を棒に振ってほしくないから
「ウチの社員たちには、ほかの会社みたいに、一度きりの人生を仕事だけで棒に振るような人には、なってほしくなかったんや」
山田氏は、そうも話していたからだ。しかし、それはただの美談ではない。前回の記事で書いたように、それが「社員を喜ばせて、やる気を引き出す」ことになり、ひいては「会社も儲かるはずだ」と、あの山田氏なら考えていたはずだ。
ここまで読んできて、「でも、どうやって残業しなくて仕事が終わるの?」と疑問に思った人もいるかもしれない。
そこで、未来工業式「さっさと帰る秘訣」を最後に紹介したい。
今回は誰にでもまねしやすそうな、3つのコツに絞って紹介する。
未来工業式「仕事を早く終わらせるコツ」を賢くまねして、まずは残業時間を減らすことから始めてみてほしい。
■未来工業式「仕事を早く終わらせる」3つのコツ
1.「あきらめる力」を身に付けてさっさと帰る
退社時間が早い未来工業では、仕事の優先順位のつけ方が明確だ。今日すべきことと、明日でも間に合うことを見極めるには、いい意味で「あきらめる力」が必要になる。今日すべきことが終われば、上司が残っていても先に帰る習慣づけから始めたい。
2.「業務のムダ」を5分単位で減らす
未来工業では、伝票処理から製造業務まで、5分単位で業務のムダを減らすことが習慣づけられている。就業時間が短いから効率化が進むわけだ。まずは、「5分のムダを6つ集めれば30分の自由時間が生まれる」と考えて、取り組んでみてほしい。
3.終業時間以降に「家庭の用事」を組み込む
社員の中には、水泳教室への子どもの送り迎えを、終業時間後の予定に組み込む人もいた。子どもを待たせるわけにはいかないから、仕事の効率も自然と上がり、定時退社を習慣づけやすいと考えたからだ。家庭の用事以外の予定でもOK。
どうだろう? 上記3つのうち、明日からまねできそうなことがひとつは見つかっただろうか?
仮にまねはできても、成果自体が出るには、少し時間がかかるかもしれない。どうか焦らずに、未来工業をまねてコツコツ続けてもらいたい。
次回は、「日本一多い」ともいわれる、同社の年間休日140日について紹介する。
本日の担当:御殿場店 鈴木 (東洋経済より)
終業時間に退社することが、あなたは何回あるだろうか?
「ノー残業デー」の週1回? 2回? そもそも「定時に帰る」という発想がない人も多いかもしれない。
一方、岐阜県にある電気・設備資材メーカー「未来工業」の社員たちは、夕方4時45分になると帰り支度を始め、5時にはほぼ誰もいなくなる。就業時間は7時間15分で、残業も仕事の持ち帰りも禁止。まさに毎日が「ノー残業デー」だ。
創業者の故・山田昭男氏が以前、テレビ「カンブリア宮殿」に出演した際のこと。
「家族との夕食を毎日とれるのが幸せ」と話す中堅社員のビデオ映像が流され、他社から転職してきた独身社員は、「平日に自分の時間がいっぱいあるので、前職ではあきらめていた『平日“婚活”』をやってみます!」と宣言してみせた。
未来工業は残業禁止の導入後30年間、赤字決算はなく、経常利益率の平均も10%を上回っている。残業禁止で、1日7時間15分しか働かないのに、儲かる会社であり続けている。
いったい、こんな「楽園企業」は、どのように生まれたのだろうか?
実は、以前の未来工業は、午前8時始業で午後5時終業。繁忙期には残業もある、ごく普通の会社だった。「残業禁止になる前は、定時に帰るという発想もなかった」という社員もいたほどだ。
■「楽園企業」が生まれた3つの理由
それが今では、残業禁止だけでなく、残った仕事の持ち帰りも禁止。同社が、「楽園企業」に生まれ変わったのには3つの理由がある。
1.スーパーの閉店時間に間に合わないから
「17時に仕事が終わっても、近所のスーパーの閉店時間に間に合いません」
本社が大垣市内から移転すると、同市内に住む多くの社員は、20分以上早く自宅を出なければならなくなった。退社時間も遅くなり、女性社員からは「スーパーの閉店時間に間に合わない」と不満が寄せられた。
「そしたら始業時間を30分遅らせて、終業時間も15分早めよう」
創業者である山田昭男氏の決断で、「毎朝8時半始業、夕方16時45分終業」の7時間15分の勤務体制が生まれた。
2.残業手当を払うのが、もったいないから
「残業手当は、もったいないから払いたくない」
生前の山田氏は、実に率直にそう話していた。残業手当は、基本給の25%もの割増しになるためだ。
だが、生前の山田氏は本音とも冗談ともつかぬ発言で、相手を煙に巻くのが上手な創業者だった。2番目までの発言も額面どおりには受け取れない。長年取材してきた身からすると、むしろ次の3番目が最大の理由だった気がする。
3.仕事だけで人生を棒に振ってほしくないから
「ウチの社員たちには、ほかの会社みたいに、一度きりの人生を仕事だけで棒に振るような人には、なってほしくなかったんや」
山田氏は、そうも話していたからだ。しかし、それはただの美談ではない。前回の記事で書いたように、それが「社員を喜ばせて、やる気を引き出す」ことになり、ひいては「会社も儲かるはずだ」と、あの山田氏なら考えていたはずだ。
ここまで読んできて、「でも、どうやって残業しなくて仕事が終わるの?」と疑問に思った人もいるかもしれない。
そこで、未来工業式「さっさと帰る秘訣」を最後に紹介したい。
今回は誰にでもまねしやすそうな、3つのコツに絞って紹介する。
未来工業式「仕事を早く終わらせるコツ」を賢くまねして、まずは残業時間を減らすことから始めてみてほしい。
■未来工業式「仕事を早く終わらせる」3つのコツ
1.「あきらめる力」を身に付けてさっさと帰る
退社時間が早い未来工業では、仕事の優先順位のつけ方が明確だ。今日すべきことと、明日でも間に合うことを見極めるには、いい意味で「あきらめる力」が必要になる。今日すべきことが終われば、上司が残っていても先に帰る習慣づけから始めたい。
2.「業務のムダ」を5分単位で減らす
未来工業では、伝票処理から製造業務まで、5分単位で業務のムダを減らすことが習慣づけられている。就業時間が短いから効率化が進むわけだ。まずは、「5分のムダを6つ集めれば30分の自由時間が生まれる」と考えて、取り組んでみてほしい。
3.終業時間以降に「家庭の用事」を組み込む
社員の中には、水泳教室への子どもの送り迎えを、終業時間後の予定に組み込む人もいた。子どもを待たせるわけにはいかないから、仕事の効率も自然と上がり、定時退社を習慣づけやすいと考えたからだ。家庭の用事以外の予定でもOK。
どうだろう? 上記3つのうち、明日からまねできそうなことがひとつは見つかっただろうか?
仮にまねはできても、成果自体が出るには、少し時間がかかるかもしれない。どうか焦らずに、未来工業をまねてコツコツ続けてもらいたい。
次回は、「日本一多い」ともいわれる、同社の年間休日140日について紹介する。
本日の担当:御殿場店 鈴木 (東洋経済より)
Posted by 保険カンパニー at 09:29│Comments(0)