2016年02月08日
<超高層マンション>「南向き信仰崩壊」で「北向き」人気
超高層マンションが各地で建設されているが、初期の超高層マンションから
最新超高層マンションに住み替える人たちの間で、史上初めてとも言える革
命的な出来事が起きている。それは、住宅の「南向き信仰」崩壊だ。住宅ジャ
ーナリスト櫻井幸雄さんが報告する。
◇いままでの日本では考えられない現象
日本で超高層マンションが増え始めたのは2001年ごろから。ちょうどそのころ
東京では湾岸エリアの再開発が進み、「都心マンションブーム」と呼ばれる現象
が起きた。「超高層」の定義は地上60メートルを超えること。60メートルの高さ
であればだいたい20階建てだから、「地上20階建て以上が超高層」とも言える。
その超高層マンション第1号とされるのが、住友不動産が1976(昭和51)年、
当時の埼玉県与野市(現在はさいたま市)に建設した「与野ハウス」だ。その規
模は、地上21階建て、高さ66メートルだった。
地上50階を超える超高層が建設されている現在からすれば、21階建ては控え
めな高さだ。しかし、当時は強度の高いコンクリートが使えず、住宅の各種設備
が超高層に対応しているかどうかも手探り状態だったので、20階建て程度が精
いっぱいだった。
その後、建築の技術、設備仕様が発達し、40階、50階建ての超高層マンション
が各地で建設されるようになった。都心部に超高層マンションが増え始めた01年
から約15年が経過した現在、古い超高層マンションから最新の超高層へ住み替
えを行う人が増え始めた。いわば、超高層族の移動である。
超高層族の移動は、これまでの日本の住宅史になかった出来事。それだけに、い
ままでの日本では考えられない現象が起きている。
どんな現象か、想像がつくだろうか--それは「南向き信仰の崩壊」である。
古来、日本の住宅は、南向きを最善とし、南向き以外は嫌われてきた。それは、日
本独自の風土の影響である。
高温多湿の日本で、住宅はカビとの闘いを強いられてきた。そこで、理想的な住ま
いとされてきたのは日が差し込み、暖かい南風が入る南向きの家。北向きではカビ
だらけとなり、健康被害が発生しやすい。だから、嫌われ、疎まれた。
家を買う人は日当たり良好な南向きを理想とした。窓の数が一戸建てより少ないマ
ンション住戸では、特に「南向き信仰」が強まった。当初の超高層マンションも、南向
きが人気を集め、「北側には住戸を設けない」という事例まであった。
その南向き住戸を購入し、住み続けた人が今、どう思っているか。じつは、「もう南向
きはこりごりだ」と話し、「今度は日が差さない住戸を」と南向き以外に殺到している
のである。
南向きが敬遠される理由は、「超高層は目を遮るものがなく、日当たりが良すぎる」こ
とが原因。加えて、近年の日本は夏の暑さが激しい。猛暑日が続き、40度前後の高
温を記録することもある。そうなると、日当たり良好の南向きは、暑さが半端なく、エア
コンが利かない。エアコンをつけても熱風が出る、というような日もあるという。そうな
ると、遮光カーテンを閉じて、日差しを避け、住人は涼しいショッピングセンターなどに
避難する、ということが起きている。
◇24時間換気で北向きでもカビは生えない
れに対して、北向きや東向きは、夏の暑さを抑えられる。一方で、今は24時間換気装
置というシステムが備わっているので、北向きであってもカビの心配はない。もう、南向
きに執着する理由はなくなっているのだ。
北向き住戸でも、反射光で室内は意外に明るく、窓から見える景色は順光でみやすい
(南向きだと逆光になる)。だから、北向き住戸の評価がうなぎ登り。西向き住戸でも、
赤外線を遮断するLow-Eガラスやエコガラスを使用すれば、夏の西日の暑さが和らぐ。
そして、首都圏の場合、西向きならば富士山が見えるというケースが多くなる。
西向きの場合、夏は多少暑くなるものの、冬は暖かく、「暖房はほとんど使わない」という
長所がある。どうも、超高層マンションでは南向きより、北向き、西向き、そして東向き住
戸のほうが旗色がよい。一度でも超高層マンションの南向き住戸に住んだことがある人
ならば、夏の暑さを知っているので、南向き以外に飛びついてしまうのだ。
夏の暑さが原因で「南向き以外を希望」の傾向が出ているなら、これもまた、地球温暖化
の影響のひとつといえそうだ。
本日の担当:御殿場店 池谷
最新超高層マンションに住み替える人たちの間で、史上初めてとも言える革
命的な出来事が起きている。それは、住宅の「南向き信仰」崩壊だ。住宅ジャ
ーナリスト櫻井幸雄さんが報告する。
◇いままでの日本では考えられない現象
日本で超高層マンションが増え始めたのは2001年ごろから。ちょうどそのころ
東京では湾岸エリアの再開発が進み、「都心マンションブーム」と呼ばれる現象
が起きた。「超高層」の定義は地上60メートルを超えること。60メートルの高さ
であればだいたい20階建てだから、「地上20階建て以上が超高層」とも言える。
その超高層マンション第1号とされるのが、住友不動産が1976(昭和51)年、
当時の埼玉県与野市(現在はさいたま市)に建設した「与野ハウス」だ。その規
模は、地上21階建て、高さ66メートルだった。
地上50階を超える超高層が建設されている現在からすれば、21階建ては控え
めな高さだ。しかし、当時は強度の高いコンクリートが使えず、住宅の各種設備
が超高層に対応しているかどうかも手探り状態だったので、20階建て程度が精
いっぱいだった。
その後、建築の技術、設備仕様が発達し、40階、50階建ての超高層マンション
が各地で建設されるようになった。都心部に超高層マンションが増え始めた01年
から約15年が経過した現在、古い超高層マンションから最新の超高層へ住み替
えを行う人が増え始めた。いわば、超高層族の移動である。
超高層族の移動は、これまでの日本の住宅史になかった出来事。それだけに、い
ままでの日本では考えられない現象が起きている。
どんな現象か、想像がつくだろうか--それは「南向き信仰の崩壊」である。
古来、日本の住宅は、南向きを最善とし、南向き以外は嫌われてきた。それは、日
本独自の風土の影響である。
高温多湿の日本で、住宅はカビとの闘いを強いられてきた。そこで、理想的な住ま
いとされてきたのは日が差し込み、暖かい南風が入る南向きの家。北向きではカビ
だらけとなり、健康被害が発生しやすい。だから、嫌われ、疎まれた。
家を買う人は日当たり良好な南向きを理想とした。窓の数が一戸建てより少ないマ
ンション住戸では、特に「南向き信仰」が強まった。当初の超高層マンションも、南向
きが人気を集め、「北側には住戸を設けない」という事例まであった。
その南向き住戸を購入し、住み続けた人が今、どう思っているか。じつは、「もう南向
きはこりごりだ」と話し、「今度は日が差さない住戸を」と南向き以外に殺到している
のである。
南向きが敬遠される理由は、「超高層は目を遮るものがなく、日当たりが良すぎる」こ
とが原因。加えて、近年の日本は夏の暑さが激しい。猛暑日が続き、40度前後の高
温を記録することもある。そうなると、日当たり良好の南向きは、暑さが半端なく、エア
コンが利かない。エアコンをつけても熱風が出る、というような日もあるという。そうな
ると、遮光カーテンを閉じて、日差しを避け、住人は涼しいショッピングセンターなどに
避難する、ということが起きている。
◇24時間換気で北向きでもカビは生えない
れに対して、北向きや東向きは、夏の暑さを抑えられる。一方で、今は24時間換気装
置というシステムが備わっているので、北向きであってもカビの心配はない。もう、南向
きに執着する理由はなくなっているのだ。
北向き住戸でも、反射光で室内は意外に明るく、窓から見える景色は順光でみやすい
(南向きだと逆光になる)。だから、北向き住戸の評価がうなぎ登り。西向き住戸でも、
赤外線を遮断するLow-Eガラスやエコガラスを使用すれば、夏の西日の暑さが和らぐ。
そして、首都圏の場合、西向きならば富士山が見えるというケースが多くなる。
西向きの場合、夏は多少暑くなるものの、冬は暖かく、「暖房はほとんど使わない」という
長所がある。どうも、超高層マンションでは南向きより、北向き、西向き、そして東向き住
戸のほうが旗色がよい。一度でも超高層マンションの南向き住戸に住んだことがある人
ならば、夏の暑さを知っているので、南向き以外に飛びついてしまうのだ。
夏の暑さが原因で「南向き以外を希望」の傾向が出ているなら、これもまた、地球温暖化
の影響のひとつといえそうだ。
本日の担当:御殿場店 池谷
Posted by 保険カンパニー at 09:24│Comments(0)