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2015年07月21日

広がる朝型勤務、課題も浮上 交通機関や保育園、体制整わず

ワークライフバランス(仕事と家庭との両立)の確立や省エネルギーなどを目指し、企業や
官公庁の間で、始業時間を繰り上げる「朝型勤務」の動きが広がっている。会議時間の短縮で
仕事の効率化が進み、余暇の時間が増えるなどの利点がある一方で、鉄道など公共交通機関で
早朝時間帯に混雑が発生するといった課題も浮き彫りになっている。

損害保険ジャパン日本興亜は7月1日~10月31日、午前9時の出社時間を1時間繰り上げる
「朝型勤務」を実施している。原則として午後7時までに退社することとした。

新事業開発部課長代理の木全(きまた)智子さん(35)も午前8時前、東京都新宿区の本社に
出社する。「早起きが得意」という木全さんは、出社すると自席のパソコンでメールのチェック、
朝刊数紙に目を通す。そして仕事の段取りを考える。「午前9時過ぎまでは社外からの電話は
ほとんどなく、考える仕事に没頭できます」と話す。

■多様な働き方可能に

一方、勤務時間が午後4時までなので、以降の会議や打ち合わせは基本的にはできない。
社内の会議の場合は時間帯を前倒しできるが、外部との場合は4時を過ぎるのもやむを得ない。
ただ、その場合でも午後5時までには終えるようにする。5歳の女児と3歳の男児を持つ母でもある
木全さんは、保育園へ迎えに行かなければならないからだ。

半面、夕方以降に時間が持てるようになり、「保育園であったことなど、子供たちの話にじっくり耳を
傾ける余裕ができました」と笑顔を見せる。同社の社員の中には、朝型勤務で生み出された夕方の
時間を使って、英会話教室に通うなど自己啓発に努めるケースも多いという。

同社は働き方改革の一環として、社員向け小冊子を作成し、会議の時間を30分以内にとどめるなど
会議の効率化や生産性向上を指導している。

人事部企画グループの吉田彰リーダーは「朝型勤務は働き方改革のための方法の一つ」と話す。
同社は、育児や介護などの理由で勤務時間の制約が必要な「制約社員」に限らず、多様な働き方を
可能とするために、従来の午前9時~午後5時以外にも、8つの勤務時間のパターンを用意した。
例えば、海外とのやり取りが必要な部署の社員が、午後1~9時のパターンを選ぶケースもあるという。

■政府「ゆう活」提唱

朝型勤務は、昨年5月に伊藤忠商事が正式導入をして注目を浴びた。
残業時間が減り、仕事の効率も向上。時間外手当が減るとともに、省エネルギーも実現した。
他企業でも導入が徐々に進んでいることから、政府も成長戦略の一つに採用。今月から政府が率先して
範を示そうと、夏場に国家公務員の始業時間を通常より1、2時間早める勤務を導入した。また、政府は
「ゆう活」と称し、朝型勤務シフトによる定時退社後の時間の有効活用を提唱。安倍晋三首相が、
公務を早めに切り上げて美術館に出向くなどし、その効果をアピールした。
こうした動きの中で朝型勤務の導入機運が一段と高まる見通しだ。

しかし、朝型勤務の普及には課題もある。毎朝、電車で出勤する損保ジャパン日本興亜の木全さん。
自宅最寄り駅から7時過ぎの電車に乗るが、「最近は車内で新聞が読めないくらい混んでいる」と話す。

鉄道各社は定期的にダイヤ改正を行うが、一度決まったダイヤを急には変えられない。車両の運用、
乗務員の確保、使用する電力量などのさまざまな条件をクリアする必要があり、改正作業は1年以上を
要する。早朝の混雑は、政府の「ゆう活」の動きに、ただちに対応できなかったことが主因とみられる。

ただ、東京急行電鉄や京王電鉄などでは朝型勤務のニーズを受け、ここ数年、早朝時間帯で列車を
増発している。首都圏の鉄道各社は、他社路線への相互乗り入れも多いため、ダイヤ改正には
他社との調整が不可欠だが、各社ともさらなる増発について、「検討課題の一つ」としている。

一方、保育園の開園時間も課題だ。午前7時台の開園が多い首都圏では、片道の通勤時間が1時間を
超えるケースも多く、「従前から、東京の郊外を中心に保育時間帯の繰り上げを求める声はある」という。
ただ、認可保育園の場合、開所時間や保育時間が自治体で決められており、簡単に繰り上げができない。
また首都圏を中心に保育士が慢性的に不足しており、「勤務シフトをずらすことで、保育士の労働環境が
悪化する可能性がある」(業界関係者)ともいう。

子育てだけでなく、将来は介護による制約社員が増えることが予想される。ただ、決められた勤務時間では
どうしても仕事ができないことで退職となれば、「社員が培ったキャリアを生かせないことになり、会社に
とっても大きな損失」(損保ジャパン日本興亜の吉田リーダー)だ。朝型勤務のさらなる定着には、
公共交通機関や保育所など、働く人を支えるインフラの充実も求められる。

■朝型勤務を実施している企業

【通年実施】
伊藤忠商事、富士ゼロックス、カゴメ、リコー、未来工業など

【期間限定】
損害保険ジャパン日本興亜(7月1日~10月31日)
キヤノン(7月6日~9月26日)
デンソー(7月1日~9月30日)
三菱自動車工業(7月13日~9月30日)
国際石油開発帝石(7月1日~8月31日)
武蔵野銀行(同上)
クレディセゾン(7月16日~9月15日)など

※通年実施は、夜間の残業禁止で事実上の朝型勤務となっているケースも含む


本日の担当:御殿場店 鈴木 (SankeiBizより)  


Posted by 保険カンパニー at 09:28Comments(0)