2016年02月29日
新たなサイバーリスクに備えよ!損保各社がプラン多様化に動く
不正アクセス増加、企業も神経をとがらせる
大手損害保険各社がサイバーリスク保険に力を入れている。官公庁や民間企業を
狙ったサイバー攻撃が増加傾向にある中、官民で対策が進んでいる。ただ、完全防
止が難しいとされるため、損害賠償など万が一への備えとして保険への需要は高い。
一定の対策を実施ずみの企業には保険料の割引制度を導入するなど、損保側は多
様なプランを用意し、需要喚起を図る。
「前年比で40%以上の増加で推移している」。損保ジャパン日本興亜は、情報漏えい
に伴う賠償責任保険が収入保険料ベースで好調に推移している。企業側のサイバー
リスク対策が強まり、賠償責任対策として保険に対する引き合いが増えたことが背景
にある。
実際、警察庁によると、2014年の企業などに対する不正アクセスの認知件数は3545
件と前年比で約20%増加。15年も多くの個人情報を有する企業や団体における被害
が目立っている。
<対策で割り引き>
ただ、どんなに対策に策を講じても、サイバー攻撃を完全に防止することは難しいとさ
れている。そこで万が一への備えとして、損保会社が提供するのが「サイバーリスク保
険」だ。従来から販売していた賠償責任保険に加え、休業中の逸失利益の補償などを
含めた包括的な保険として開発され、足元では競争が激化している。
大手損保で最も先行するのは東京海上日動火災保険。15年2月から発売し、現在まで
に1300件を超える引き合いを得ている。同社の場合、不正アクセスの恐れが生じた時
点から補償するため、大手損保の中でサイバー被害に関する補償の範囲が最も広い。
16年1月からは経済産業省が策定した「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」に沿っ
た対策を施している企業を対象に、保険料を最大55%割り引く制度も導入。大手企業
だけでなく、中堅・中小企業へも幅広く導入しやすく設計した。
損保ジャパン日本興亜も賠償責任保険に加え、15年10月にサイバーリスク保険を発売
し、東京海上を追う。日本品質保証機構などと提携し、同講などが認証する情報セキュ
リティマネジメントシステムを取得した企業には保険料を最大60%割り引く制度も導入し
た。
<マイナンバー運用開始>
三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険もサイバーリスク保険を共同
開発した。この内、三井住友海上は既存の賠償責任保険などと合わせると、直近の半
年間で約30%販売が増えているという。
個人情報を巡っては16年1月からマイナンバーの運用も始まり、情報を取り扱うリスクは
ますます増加している。特に、中堅・中小企業では大手企業に比べ、管理ノウハウの対
策が不十分な企業も多い。サイバー攻撃に関する企業の防衛ニーズが高まる中で、損
保会社の保険獲得を争う競争もますます激しくなっていきそうだ。
本日の担当:沼津店 杉山純司
大手損害保険各社がサイバーリスク保険に力を入れている。官公庁や民間企業を
狙ったサイバー攻撃が増加傾向にある中、官民で対策が進んでいる。ただ、完全防
止が難しいとされるため、損害賠償など万が一への備えとして保険への需要は高い。
一定の対策を実施ずみの企業には保険料の割引制度を導入するなど、損保側は多
様なプランを用意し、需要喚起を図る。
「前年比で40%以上の増加で推移している」。損保ジャパン日本興亜は、情報漏えい
に伴う賠償責任保険が収入保険料ベースで好調に推移している。企業側のサイバー
リスク対策が強まり、賠償責任対策として保険に対する引き合いが増えたことが背景
にある。
実際、警察庁によると、2014年の企業などに対する不正アクセスの認知件数は3545
件と前年比で約20%増加。15年も多くの個人情報を有する企業や団体における被害
が目立っている。
<対策で割り引き>
ただ、どんなに対策に策を講じても、サイバー攻撃を完全に防止することは難しいとさ
れている。そこで万が一への備えとして、損保会社が提供するのが「サイバーリスク保
険」だ。従来から販売していた賠償責任保険に加え、休業中の逸失利益の補償などを
含めた包括的な保険として開発され、足元では競争が激化している。
大手損保で最も先行するのは東京海上日動火災保険。15年2月から発売し、現在まで
に1300件を超える引き合いを得ている。同社の場合、不正アクセスの恐れが生じた時
点から補償するため、大手損保の中でサイバー被害に関する補償の範囲が最も広い。
16年1月からは経済産業省が策定した「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」に沿っ
た対策を施している企業を対象に、保険料を最大55%割り引く制度も導入。大手企業
だけでなく、中堅・中小企業へも幅広く導入しやすく設計した。
損保ジャパン日本興亜も賠償責任保険に加え、15年10月にサイバーリスク保険を発売
し、東京海上を追う。日本品質保証機構などと提携し、同講などが認証する情報セキュ
リティマネジメントシステムを取得した企業には保険料を最大60%割り引く制度も導入し
た。
<マイナンバー運用開始>
三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険もサイバーリスク保険を共同
開発した。この内、三井住友海上は既存の賠償責任保険などと合わせると、直近の半
年間で約30%販売が増えているという。
個人情報を巡っては16年1月からマイナンバーの運用も始まり、情報を取り扱うリスクは
ますます増加している。特に、中堅・中小企業では大手企業に比べ、管理ノウハウの対
策が不十分な企業も多い。サイバー攻撃に関する企業の防衛ニーズが高まる中で、損
保会社の保険獲得を争う競争もますます激しくなっていきそうだ。
本日の担当:沼津店 杉山純司
Posted by 保険カンパニー at
09:18
│Comments(0)