2014年08月12日
カラダの水、2%失ったら脱水症 のどの渇きの仕組み
生きていくために一番大事なものは何でしょう。
「お金?」なんて思った人は、ゆっくり読んでください。最も大切なのは「水」。それは、人類の
はるか遠い祖先が海から生まれたときに決まったことでした。水を巡る体の中の営みは、
遠大で、思慮深くて、そしてちょっとだけ笑えます。
水は、私たちの体になくてはならないもの。なにしろ人体の約60%は水分(体重50キロなら
約30リットル分)で、ここから2%失われるだけで脱水症になるという。人間の体の中は、
文字通りいつも“水浸し”でなくてはいけないのです。
「地球上の生命はもともと海の中で生まれたので、水に浸って生きるのが本来の姿。
そのしくみがそのまま私たちの体に受け継がれているのです」。早稲田大学人間科学学術院
教授の永島計さんは、こんなふうに話し始めた。
体の中の水=体液を太古の海に見立てるなら、そこに浸っているのは、細胞。
人間の体には、約60兆個の細胞がある。これらが体液という“海”の中で息づいているわけだ。
「人の体は、この“海”を保持し、細胞の居心地がいい状態を保つために働いているといっても
過言ではありません」
■血液が足りなくなると細胞内の水が供出される
体内の水分といわれて、多くの人がまず思い浮かべるのは「血液」だろう。
血液は、体内に張り巡らされた血管の中を流れて、体内の細胞に酸素と栄養を届ける。
大人一人の血管をすべてつないだ長さはなんと10万キロメートル。これは赤道の2.5倍に及ぶと
いうから、途方もないスケールだ。
ただ「体液の中で血液が占める割合は、実はさほど多くありません」と永島さん。
30リットルの中の、せいぜい4リットル分だという。
残り26リットルのうち16リットルは「細胞内液」。
細胞一つ一つは顕微鏡でなければ見えないほど小さな袋(直径数十マイクロメートル程度)だけれど、
60兆個もあるので、細胞内の水の総量はこんなに多くなる。
残った10リットルが「細胞外液」。
細胞の外側を満たす水分で、イメージとしてはこれが、“細胞が浸る海”に近いだろう。
血液が運んできた酸素と栄養は、毛細血管から細胞外液へしみ出て、それを細胞が取り込む。
逆に、細胞が吐き出した二酸化炭素や老廃物は、細胞外液をへて血管に回収される。
「交通網に例えると、血管はスピードの速い高速道路。高速を降りてから家庭の玄関までを
つなぐ一般道にあたるのが細胞外液で、速度は遅いけれど、隅々まで行き渡ってます」。
こんな“物流システム”が、全身の細胞を養っているわけだ。
ただしこれは、水分が十分に足りているときの話。ひとたび水不足になると様相は一変すると、
永島さんはいう。
「例えば汗をかいて血液の水分が急に減ると、緊急的に細胞内の水分が引き出されます」
血液が不足すると血圧が下がり、脳へ血が巡らなくなってしまう。脳は体の中枢であり、酸素や
栄養が届かなくなるのは生死にかかわる問題。だから非常事態と見るや、全身の細胞は自分の
細胞内液を差し出す。特に、肌や手足など、生きていくための重要度があまり高くない場所の
細胞がまず“犠牲”になるという。「16リットルの細胞内液は、非常用水分ストックでもあるのです」。
同時に、脳が「のどが渇いた」という指令を出す。そして私たちが水を飲み、血液量が回復すれば、
細胞は再び内なる海にゆったりと身を預ける。
■脳がモニターしているのは血液中の塩分濃度
へ~お見事…と思わず感心するしくみだが、永島さんによると、思わぬ盲点もあるという。
「水不足に備えて脳がモニターするのは、血液量ではなく、血液中の塩分濃度なのですよ」
というのも、脳自体が体の中にある臓器なので、自分の体の水分量を測るのは難しいのだ。
だから代わりに塩分濃度をチェックし、濃くなったら「脱水だ」と判断する。
でも、そのやり方が盲点?
「塩辛いものを食べたときにも“水が足りない”と判断してしまうんです。それで水を飲むと、
水分過剰で体がむくむ」
なるほど、確かに味の濃いラーメンを汁まで飲んだあとなどは、のどが渇きます。でも太古の昔には
ラーメンがなかったのだから、勘違いするのも仕方ないかも。とりあえず塩分のとり過ぎにはご注意を。
本日の担当:沼津店 山崎 (日本経済新聞より)
「お金?」なんて思った人は、ゆっくり読んでください。最も大切なのは「水」。それは、人類の
はるか遠い祖先が海から生まれたときに決まったことでした。水を巡る体の中の営みは、
遠大で、思慮深くて、そしてちょっとだけ笑えます。
水は、私たちの体になくてはならないもの。なにしろ人体の約60%は水分(体重50キロなら
約30リットル分)で、ここから2%失われるだけで脱水症になるという。人間の体の中は、
文字通りいつも“水浸し”でなくてはいけないのです。
「地球上の生命はもともと海の中で生まれたので、水に浸って生きるのが本来の姿。
そのしくみがそのまま私たちの体に受け継がれているのです」。早稲田大学人間科学学術院
教授の永島計さんは、こんなふうに話し始めた。
体の中の水=体液を太古の海に見立てるなら、そこに浸っているのは、細胞。
人間の体には、約60兆個の細胞がある。これらが体液という“海”の中で息づいているわけだ。
「人の体は、この“海”を保持し、細胞の居心地がいい状態を保つために働いているといっても
過言ではありません」
■血液が足りなくなると細胞内の水が供出される
体内の水分といわれて、多くの人がまず思い浮かべるのは「血液」だろう。
血液は、体内に張り巡らされた血管の中を流れて、体内の細胞に酸素と栄養を届ける。
大人一人の血管をすべてつないだ長さはなんと10万キロメートル。これは赤道の2.5倍に及ぶと
いうから、途方もないスケールだ。
ただ「体液の中で血液が占める割合は、実はさほど多くありません」と永島さん。
30リットルの中の、せいぜい4リットル分だという。
残り26リットルのうち16リットルは「細胞内液」。
細胞一つ一つは顕微鏡でなければ見えないほど小さな袋(直径数十マイクロメートル程度)だけれど、
60兆個もあるので、細胞内の水の総量はこんなに多くなる。
残った10リットルが「細胞外液」。
細胞の外側を満たす水分で、イメージとしてはこれが、“細胞が浸る海”に近いだろう。
血液が運んできた酸素と栄養は、毛細血管から細胞外液へしみ出て、それを細胞が取り込む。
逆に、細胞が吐き出した二酸化炭素や老廃物は、細胞外液をへて血管に回収される。
「交通網に例えると、血管はスピードの速い高速道路。高速を降りてから家庭の玄関までを
つなぐ一般道にあたるのが細胞外液で、速度は遅いけれど、隅々まで行き渡ってます」。
こんな“物流システム”が、全身の細胞を養っているわけだ。
ただしこれは、水分が十分に足りているときの話。ひとたび水不足になると様相は一変すると、
永島さんはいう。
「例えば汗をかいて血液の水分が急に減ると、緊急的に細胞内の水分が引き出されます」
血液が不足すると血圧が下がり、脳へ血が巡らなくなってしまう。脳は体の中枢であり、酸素や
栄養が届かなくなるのは生死にかかわる問題。だから非常事態と見るや、全身の細胞は自分の
細胞内液を差し出す。特に、肌や手足など、生きていくための重要度があまり高くない場所の
細胞がまず“犠牲”になるという。「16リットルの細胞内液は、非常用水分ストックでもあるのです」。
同時に、脳が「のどが渇いた」という指令を出す。そして私たちが水を飲み、血液量が回復すれば、
細胞は再び内なる海にゆったりと身を預ける。
■脳がモニターしているのは血液中の塩分濃度
へ~お見事…と思わず感心するしくみだが、永島さんによると、思わぬ盲点もあるという。
「水不足に備えて脳がモニターするのは、血液量ではなく、血液中の塩分濃度なのですよ」
というのも、脳自体が体の中にある臓器なので、自分の体の水分量を測るのは難しいのだ。
だから代わりに塩分濃度をチェックし、濃くなったら「脱水だ」と判断する。
でも、そのやり方が盲点?
「塩辛いものを食べたときにも“水が足りない”と判断してしまうんです。それで水を飲むと、
水分過剰で体がむくむ」
なるほど、確かに味の濃いラーメンを汁まで飲んだあとなどは、のどが渇きます。でも太古の昔には
ラーメンがなかったのだから、勘違いするのも仕方ないかも。とりあえず塩分のとり過ぎにはご注意を。
本日の担当:沼津店 山崎 (日本経済新聞より)
Posted by 保険カンパニー at
08:15
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