2014年08月29日
運動選手のトレーニング 予防医療に応用
運動選手向けという受け止め方が強かったファンクショナルトレーニング(ファントレ)を、
一般向けのからだづくりに役立てようという動きが広がっている。
フィットネスクラブで取り入れる例が増えているだけでなく、医療機関も注目し始めた。
同トレーニングは「動きの質をあげる」とよくいわれるが、どんな特徴があり、どういった点に
気をつければよいのだろうか。
ファンクショナルトレーニングは直訳すると機能的なトレーニングだが、関節や筋肉を
効果的に使って目的に合わせた動きができるからだづくりをめざす。
筋トレとは違い「人間が生きる上で必要な、動きのトレーニングだ。正しい身体の知識を理解し、
何のために鍛えるのか目的意識を持つことが何より大切だ」。五輪出場選手のトレーナーを
務めるR―body project(東京・渋谷)の鈴木岳代表はこう説明する。
■柔軟に動く関節に
同じスポーツ選手でも種目が違えば動き方が違うので、同じ筋肉でも鍛える目的が異なり
トレーニングの仕方も変わる。その前提になるのは肩や股関節のように動くべき関節が
広く柔軟に動き、腰椎など固定すべき骨をきちんと固定するように周辺の筋肉を鍛えることだ。
やみくもに筋肉を鍛えても動くべき関節が動きにくくなるなど、かえって運動能力は低下する
ことになりかねない。これは一般人でも同じことだ。
そこで大切になるのが、自分のからだのどこがおかしいかのチェックだ。
スポーツ選手では専門のトレーナーに点検してもらうが、一般の人が自分の立ち姿を鏡で
確認するだけでも、課題がいろいろ見えてくる。
例えば正しい姿勢で立ったつもりでも、腕がからだの真横にならず手の甲が正面から見える
ようだと、肩甲骨周りの筋肉が弱かったり背中の筋肉が硬かったりする。肩甲骨の周りの
筋肉が弱いと猫背になったり肩がこったりしやすい。そこで肩こりの解消や予防のために、
うつぶせの姿勢から肩甲骨を寄せて胸を開く運動をして肩甲骨を鍛えるわけだ。
何の目的のためにどのような理由でトレーニングするのかがわかれば、効果も感じやすい。
ファンクショナルトレーニングで従来にない器具を使ったり新しいトレーニング法を使ったり
することはほとんどない。ただトレーニングの目的と理由を明確にすることが重要で、同じ筋肉を
鍛える場合でも目的が異なればトレーニング法などが違ってくる。
従来の上半身を持ち上げる腹筋運動はボディービルなどには適しているが、運動を重視すると
腹筋だけでなく股関節周りの筋肉まで合わせて鍛える別のトレーニングがより適している。
一般の人の場合は日常生活に必要なからだの機能を高めることが大切なので、ものを持ち上げる
など日常に多い動作を取り入れたトレーニングも役に立つ。
■病気や障害を防止
ファンクショナルトレーニングの考え方を健康管理に取り入れたのが聖路加国際病院だ。
人間ドックなど予防医療の拠点として開設した付属クリニックの聖路加メディローカスに、R―bodyと
提携して同トレーニングを導入した。同病院の福井次矢院長は「健診での身体的な機能の確認と
目的に合ったトレーニングのプログラムを組み合わせることで、からだの機能を高め病気の予防にも
なる」と説明する。
これまでの人間ドックでは検査数値に基づいて運動の必要があると指導しても、具体的にどのような
理由でどんなトレーニングをしたらよいかまで踏み込んだ提案はなかった。そこにファンクショナル
トレーニングのチェックを加え、内科的な健康状態だけでなくからだの状態や機能に合わせた運動を
提案できる。福井院長は自身も実際に同トレーニングを試してみて「長年悩んでいた肩のこりなどが
なくなった」と笑う。
ファンクショナルトレーニングは動きを鍛えることで機能を向上するだけでなく、障害が起こるのを
防ぐことも目的だ。高齢化が進むにつれて足腰の機能の衰えによる転倒などが起こりやすくなるが、
機能を考えたトレーニングをすることで転倒予防だけでなく、転んでもけがをしにくいなど障害を防ぐ
効果も出る。
いくらトレーニングを積んでも、単に「体を鍛える」だけでは効果は限られる。年齢や自分のからだの
くせに合わせたトレーニングを、理解して実施することが、長続きにもつながる。運動の目的や
理由を考えることで、自分の健康のために何が必要かを見直すきっかけにもなりそうだ。
本日の担当:御殿場店 池谷 (日本経済新聞より)
一般向けのからだづくりに役立てようという動きが広がっている。
フィットネスクラブで取り入れる例が増えているだけでなく、医療機関も注目し始めた。
同トレーニングは「動きの質をあげる」とよくいわれるが、どんな特徴があり、どういった点に
気をつければよいのだろうか。
ファンクショナルトレーニングは直訳すると機能的なトレーニングだが、関節や筋肉を
効果的に使って目的に合わせた動きができるからだづくりをめざす。
筋トレとは違い「人間が生きる上で必要な、動きのトレーニングだ。正しい身体の知識を理解し、
何のために鍛えるのか目的意識を持つことが何より大切だ」。五輪出場選手のトレーナーを
務めるR―body project(東京・渋谷)の鈴木岳代表はこう説明する。
■柔軟に動く関節に
同じスポーツ選手でも種目が違えば動き方が違うので、同じ筋肉でも鍛える目的が異なり
トレーニングの仕方も変わる。その前提になるのは肩や股関節のように動くべき関節が
広く柔軟に動き、腰椎など固定すべき骨をきちんと固定するように周辺の筋肉を鍛えることだ。
やみくもに筋肉を鍛えても動くべき関節が動きにくくなるなど、かえって運動能力は低下する
ことになりかねない。これは一般人でも同じことだ。
そこで大切になるのが、自分のからだのどこがおかしいかのチェックだ。
スポーツ選手では専門のトレーナーに点検してもらうが、一般の人が自分の立ち姿を鏡で
確認するだけでも、課題がいろいろ見えてくる。
例えば正しい姿勢で立ったつもりでも、腕がからだの真横にならず手の甲が正面から見える
ようだと、肩甲骨周りの筋肉が弱かったり背中の筋肉が硬かったりする。肩甲骨の周りの
筋肉が弱いと猫背になったり肩がこったりしやすい。そこで肩こりの解消や予防のために、
うつぶせの姿勢から肩甲骨を寄せて胸を開く運動をして肩甲骨を鍛えるわけだ。
何の目的のためにどのような理由でトレーニングするのかがわかれば、効果も感じやすい。
ファンクショナルトレーニングで従来にない器具を使ったり新しいトレーニング法を使ったり
することはほとんどない。ただトレーニングの目的と理由を明確にすることが重要で、同じ筋肉を
鍛える場合でも目的が異なればトレーニング法などが違ってくる。
従来の上半身を持ち上げる腹筋運動はボディービルなどには適しているが、運動を重視すると
腹筋だけでなく股関節周りの筋肉まで合わせて鍛える別のトレーニングがより適している。
一般の人の場合は日常生活に必要なからだの機能を高めることが大切なので、ものを持ち上げる
など日常に多い動作を取り入れたトレーニングも役に立つ。
■病気や障害を防止
ファンクショナルトレーニングの考え方を健康管理に取り入れたのが聖路加国際病院だ。
人間ドックなど予防医療の拠点として開設した付属クリニックの聖路加メディローカスに、R―bodyと
提携して同トレーニングを導入した。同病院の福井次矢院長は「健診での身体的な機能の確認と
目的に合ったトレーニングのプログラムを組み合わせることで、からだの機能を高め病気の予防にも
なる」と説明する。
これまでの人間ドックでは検査数値に基づいて運動の必要があると指導しても、具体的にどのような
理由でどんなトレーニングをしたらよいかまで踏み込んだ提案はなかった。そこにファンクショナル
トレーニングのチェックを加え、内科的な健康状態だけでなくからだの状態や機能に合わせた運動を
提案できる。福井院長は自身も実際に同トレーニングを試してみて「長年悩んでいた肩のこりなどが
なくなった」と笑う。
ファンクショナルトレーニングは動きを鍛えることで機能を向上するだけでなく、障害が起こるのを
防ぐことも目的だ。高齢化が進むにつれて足腰の機能の衰えによる転倒などが起こりやすくなるが、
機能を考えたトレーニングをすることで転倒予防だけでなく、転んでもけがをしにくいなど障害を防ぐ
効果も出る。
いくらトレーニングを積んでも、単に「体を鍛える」だけでは効果は限られる。年齢や自分のからだの
くせに合わせたトレーニングを、理解して実施することが、長続きにもつながる。運動の目的や
理由を考えることで、自分の健康のために何が必要かを見直すきっかけにもなりそうだ。
本日の担当:御殿場店 池谷 (日本経済新聞より)
Posted by 保険カンパニー at
09:37
│Comments(0)