2014年07月15日
なぜスマホに子守りをさせてはダメなのか
■子どもを「鬼から電話」に叱ってもらう親
イクメンという言葉もあるが、共稼ぎで交互に子どもの世話をしているとき、忙しさにかまけて、
ついスマートフォンの子育てアプリに頼るケースも増えているようである。
たとえば、「おにから電話」というアプリがある。
子どもが言うことをきかないとき、寝ないとき、歯磨きをしないとき、片づけをしないとき、
薬を飲まないとき、これを起動すると、着信があり画面に鬼が出てくる。
これを子どもに見せて効果があれば「拒否」、効果なしなら「通話」ボタンを押す。すると鬼が
電話口から「また言うことをきかないんですか」とおそろしい顔をこちらに見せて、「こら!
言うことをきかないと、からいからい鍋に入れて食べちゃうぞ」などと脅す。
小さな子は怖がって、泣き出したり、親に謝ったりする。
それで「効果抜群」と重宝したり、「躾に使える」とありがたがったりする親もいるらしい。
子どもが「恐い、恐い」「やめて、やめて」と泣き叫ぶ様子を、笑いながら見ている自分も
いっしょに動画におさめて、ユーチューブに投稿した母親や父親もいる。
昔はおっぱいを飲ませたり、子守唄を歌ったり、おとぎ話を聞かせたりする際に、肌を通じて
赤ん坊に伝わる母親のあたたかい鼓動が子育ての重要な要素だったし、もちろんいまでも
これが子育ての本流だろう。しかし、テレビが登場したとき、テレビを子守に使わないようにとの
忠告が出されたように、いまや「スマホに子守をさせないで」という警告が発せられるようになった。
■言語の発達の遅れ、親子の会話がなくなる
一般社団法人日本小児科医会は昨年12月、文字通りそう呼びかけるポスター
(http://jpa.umin.jp/download/update/sumaho.pdf) 5万枚を全国の医院や保育園などに配った。
ポスターでは、子育てアプリが赤ちゃんの育ちをゆがめる可能性や、親子ともにメディア機器漬けに
なって相互の会話や体験を共有する時間が奪われるおそれなどが指摘されている。
同医会の「子どもとメディア」対策委員の一人である小児科かずえキッズクリニック(渋谷区)の
川上一恵院長はこう語っている。
「生後8カ月ほどの乳児でもタブレットを与えると、すぐに指で画面を動かすことを覚えます。
しかし、そればかり与えていると、本をめくる動作もできなくなり、紙の雑誌で同じような操作が
できないのでかんしゃくを起こします。スマホやタブレットばかり見ていると、子どもの目は
近視になりやすく、言語発達も遅れ、親子で会話をしなくなったり、親と目を合わせなったりすると
いった弊害も出ています。しかし、1週間、テレビを含めてメディア機器から遠ざけると回復し、
笑顔も出て、親と関わり合いを持つようになるのです。だから、親がスマホを使うなとはいいませんが、
子どもに勝手に使わせて、スマホ漬けにすることは避けるべきだと思います」
同院長は渋谷区の小学校の校医も務め、10年以上前からメディアが子どもに悪影響を与えないように
指導をしてきた。その小学校の保護者に対して2013年7月にアンケート調査を行ったところ、
スマホを持つ親は6割以上おり、その大半が子ども向けアプリを使っていた。
■スマホ子守りが幼児に与える悪影響
ネット上で幼児・子ども向けアプリを検索すると、無料のアプリが驚くほどあふれている。
お絵かき、塗り絵、パズル、絵本、数や言葉遊びなど、いわゆる学習型アプリが多く、子どもを遊ばせる
タイプは3割だったと、同院長は言う。
「絵本の読み聞かせアプリを使っていたお母さんは『なぜ子どもにスマホを与えてはいけないのか』と
私に質問しました。タブレットで絵本を見ながらお母さんが読み聞かせるならばいいですが、
画面の小さなスマホを与えて、子どもがじっと見ていたら目にも悪いし、弊害が多いですよと説明しましたが、
『与えておくと子どもが静かにしているのでいい』というお母さんも多い。
子どもはスマホではなく親に遊んでほしいと思っているのです」
さらにこう警鐘を鳴らす。
「子どもとの関わり方を変えないと、子どもは親の言うことを聞きません。いつもネガティブな言葉で
叱ってばかりいるので、次第に叱るのが苦痛になり、自分が怒らないで済むようにスマホを与えたり、
鬼のアプリを使うのでしょう。そうではなく、子どもを認め、こまめにほめるように育て方を変えると、
すぐに子どもも変わります。当クリニックにいらっしゃるお母さんたちにちょっとしたコツを教えるだけで、
変わります。私達はもっと育児について親御さんに教える機会を作らないといけないと思っています」
スマートフォンは便利な道具である。よくできたおもちゃとして、たまに遊ばせる(遊ぶ)のはいいだろうが、
それに子育てをゆだねてしまうとなると、幼児に与える影響は大きい。
最近では、電車や路上で母親がスマホに夢中になり、ベビーカーで泣いている子どもを無視したり、
「うるさい! 」と怒鳴りつけたりしている光景も見られる。
そのように育てられた子どもの将来はどうなるのか、ここはよく考えてみるべきだろう。
本日の担当:学園通り店 長山 (プレジデントより)
イクメンという言葉もあるが、共稼ぎで交互に子どもの世話をしているとき、忙しさにかまけて、
ついスマートフォンの子育てアプリに頼るケースも増えているようである。
たとえば、「おにから電話」というアプリがある。
子どもが言うことをきかないとき、寝ないとき、歯磨きをしないとき、片づけをしないとき、
薬を飲まないとき、これを起動すると、着信があり画面に鬼が出てくる。
これを子どもに見せて効果があれば「拒否」、効果なしなら「通話」ボタンを押す。すると鬼が
電話口から「また言うことをきかないんですか」とおそろしい顔をこちらに見せて、「こら!
言うことをきかないと、からいからい鍋に入れて食べちゃうぞ」などと脅す。
小さな子は怖がって、泣き出したり、親に謝ったりする。
それで「効果抜群」と重宝したり、「躾に使える」とありがたがったりする親もいるらしい。
子どもが「恐い、恐い」「やめて、やめて」と泣き叫ぶ様子を、笑いながら見ている自分も
いっしょに動画におさめて、ユーチューブに投稿した母親や父親もいる。
昔はおっぱいを飲ませたり、子守唄を歌ったり、おとぎ話を聞かせたりする際に、肌を通じて
赤ん坊に伝わる母親のあたたかい鼓動が子育ての重要な要素だったし、もちろんいまでも
これが子育ての本流だろう。しかし、テレビが登場したとき、テレビを子守に使わないようにとの
忠告が出されたように、いまや「スマホに子守をさせないで」という警告が発せられるようになった。
■言語の発達の遅れ、親子の会話がなくなる
一般社団法人日本小児科医会は昨年12月、文字通りそう呼びかけるポスター
(http://jpa.umin.jp/download/update/sumaho.pdf) 5万枚を全国の医院や保育園などに配った。
ポスターでは、子育てアプリが赤ちゃんの育ちをゆがめる可能性や、親子ともにメディア機器漬けに
なって相互の会話や体験を共有する時間が奪われるおそれなどが指摘されている。
同医会の「子どもとメディア」対策委員の一人である小児科かずえキッズクリニック(渋谷区)の
川上一恵院長はこう語っている。
「生後8カ月ほどの乳児でもタブレットを与えると、すぐに指で画面を動かすことを覚えます。
しかし、そればかり与えていると、本をめくる動作もできなくなり、紙の雑誌で同じような操作が
できないのでかんしゃくを起こします。スマホやタブレットばかり見ていると、子どもの目は
近視になりやすく、言語発達も遅れ、親子で会話をしなくなったり、親と目を合わせなったりすると
いった弊害も出ています。しかし、1週間、テレビを含めてメディア機器から遠ざけると回復し、
笑顔も出て、親と関わり合いを持つようになるのです。だから、親がスマホを使うなとはいいませんが、
子どもに勝手に使わせて、スマホ漬けにすることは避けるべきだと思います」
同院長は渋谷区の小学校の校医も務め、10年以上前からメディアが子どもに悪影響を与えないように
指導をしてきた。その小学校の保護者に対して2013年7月にアンケート調査を行ったところ、
スマホを持つ親は6割以上おり、その大半が子ども向けアプリを使っていた。
■スマホ子守りが幼児に与える悪影響
ネット上で幼児・子ども向けアプリを検索すると、無料のアプリが驚くほどあふれている。
お絵かき、塗り絵、パズル、絵本、数や言葉遊びなど、いわゆる学習型アプリが多く、子どもを遊ばせる
タイプは3割だったと、同院長は言う。
「絵本の読み聞かせアプリを使っていたお母さんは『なぜ子どもにスマホを与えてはいけないのか』と
私に質問しました。タブレットで絵本を見ながらお母さんが読み聞かせるならばいいですが、
画面の小さなスマホを与えて、子どもがじっと見ていたら目にも悪いし、弊害が多いですよと説明しましたが、
『与えておくと子どもが静かにしているのでいい』というお母さんも多い。
子どもはスマホではなく親に遊んでほしいと思っているのです」
さらにこう警鐘を鳴らす。
「子どもとの関わり方を変えないと、子どもは親の言うことを聞きません。いつもネガティブな言葉で
叱ってばかりいるので、次第に叱るのが苦痛になり、自分が怒らないで済むようにスマホを与えたり、
鬼のアプリを使うのでしょう。そうではなく、子どもを認め、こまめにほめるように育て方を変えると、
すぐに子どもも変わります。当クリニックにいらっしゃるお母さんたちにちょっとしたコツを教えるだけで、
変わります。私達はもっと育児について親御さんに教える機会を作らないといけないと思っています」
スマートフォンは便利な道具である。よくできたおもちゃとして、たまに遊ばせる(遊ぶ)のはいいだろうが、
それに子育てをゆだねてしまうとなると、幼児に与える影響は大きい。
最近では、電車や路上で母親がスマホに夢中になり、ベビーカーで泣いている子どもを無視したり、
「うるさい! 」と怒鳴りつけたりしている光景も見られる。
そのように育てられた子どもの将来はどうなるのか、ここはよく考えてみるべきだろう。
本日の担当:学園通り店 長山 (プレジデントより)
Posted by 保険カンパニー at
09:27
│Comments(0)