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2014年09月16日

<原油価格>下落続く 欧州、中国の景気懸念 需要先細り

原油価格の下落が続いている。
ウクライナやイラクの政情不安により、国際指標の米国産標準油種(WTI)は今年6月中旬には
9カ月ぶりの高値となる1バレル=107ドル超まで上昇したが、これを境に下落して、現在は
92ドル前後と8カ月ぶりの安値水準に戻った。欧州や中国の景気の先行き懸念で原油需要が
減るとの観測が広がっていることに加え、米国の原油増産で余剰感も出てきているためだ。

【家計を直撃】なぜ続くガソリン高

欧州連合(EU)統計局が先月公表したユーロ圏の4~6月期の実質域内総生産(GDP)の
成長率(速報値)は前期比0.0%のゼロ成長。ウクライナ危機による企業心理の悪化で、
設備投資が落ち込んだことが主な要因だ。中国も4~6月期のGDPは、前年同期比7.5%増。
政府が掲げる今年の成長率目標を維持したものの、インフラ建設など政府の景気対策に
支えられた格好で内需には勢いがない。消費動向を示す社会消費品小売総額は、先月は
前年同月比11.9%増と3カ月連続で伸びが鈍化しており、原油需要の先細り観測が強まっている。

米国でも「景気回復基調の割にガソリン需要は伸びていない」(アナリスト)との見方が多く、
省エネ車の普及が加速していることもガソリン需要の伸び悩みにつながっているようだ。

供給面では、ウクライナ問題で欧米とロシアとの対立が深まったものの、ロシアは欧州への
原油・ガス供給の全面禁止にまでは踏み込んでおらず、エネルギー供給の途絶などの深刻な
事態には陥っていない。イラク情勢でも、大型製油所が集中する同国南部地域は、武装勢力の
侵攻を免れている。

さらに米国の原油増産が世界の原油供給に影響を与えている。米エネルギー情報局(EIA)が
今月9日に公表した短期エネルギー見通しでは、先月の同国の産油量は日量860万バレルで、
1986年7月以来の高水準となった。地下深くのシェール(頁岩(けつがん))層から取れる
シェールオイルの生産量が増えているためだ。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の
野神隆之・上席エコノミストは「米国はシェールオイル増産で原油の輸入が減り、その余波で世界的に
原油の余剰感が出ている」と指摘する。

◇円安進行で恩恵薄く

原油価格の下落は、日本国内では運輸や化学、鉄鋼などの分野で燃料コスト軽減につながる。
石油情報センターによると、レギュラーガソリンの全国平均価格は7月14日に1リットル当たり
169.9円まで上昇したが、その後の原油価格の下落で、今月8日には167.4円と、この2カ月間で
2.5円下げた。また、日本が輸入する液化天然ガス(LNG)の大半は原油価格と連動しているため、
電気・ガス料金の値下がりにもつながっている。

ただ、足元の外国為替市場の円相場は6年ぶりの円安水準の1ドル=107円台となっており、
原油の輸入コストを押し上げる可能性がある。第一生命経済研究所の永浜利広・主席エコノミストは
「原油価格の下落は日本経済にとってプラスだが、円安が進展しているため、恩恵を十分に
受けられないのではないか」と指摘する。市場では、冬場の暖房用の燃料需要が拡大するにしたがって、
原油価格は上昇しやすくなるとの見方が一般的。JOGMECの野神氏は「イラク情勢の悪化や
ロシアと米欧の対立が強まれば価格が上振れるリスクもある」としている。


本日の担当:学園通り店 長山 (毎日新聞より)  


Posted by 保険カンパニー at 09:14Comments(0)